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『暗殺者の正義』(On Target)マーク・グリーニー [新刊!]

グリーニーのこのシリーズは、ほんとうにおもしろい。今回は、アフリカ最大の紛争地域スーダンのダルフールで、凄腕の刺客「グレイマン」ことコート・ジェントリーが、複雑な任務をこなす。例によって、アクションはとどまるところを知らず、迫力満点だし、なんでもあるものを得物に利用するテクニックも、ふたたび披露される。きのうの敵がきょうの味方となり、また敵となる……孤独な暗殺者の戦いはつづく。北上次郎さんのリキのはいった解説付き。

暗殺者グレイマン (ハヤカワ文庫 NV)

暗殺者グレイマン (ハヤカワ文庫 NV)

  • 作者: マーク・グリーニー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/09/21
  • メディア: 文庫



On Target (A Gray Man Novel)

On Target (A Gray Man Novel)

  • 作者: Mark Greaney
  • 出版社/メーカー: Jove
  • 発売日: 2010/09/28
  • メディア: マスマーケット



暗殺者の正義 (ハヤカワ文庫 NV ク 21-2)

暗殺者の正義 (ハヤカワ文庫 NV ク 21-2)

  • 作者: マーク・グリーニー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/04/05
  • メディア: 新書



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『暗殺者グレイマン』グリーニー [新刊!]

訳者の経験からすると、J・C・ポロック以来の大物新人だ。グレイマンと呼ばれる刺客(アサシン)の能力の高さは、特殊部隊員たちの技倆とは、また微妙に異なっている。「グレイマン」とは、諜報の世界では周囲に溶け込んで目立たない能力を指す。雲をつくような大男であったり、あまり美男だったりすると、まずいわけだ。服装もしかり。日本でいうなら、ドブネズミ色のスーツを着て街を歩く男でなければならない。それでいて、優秀な狙撃手であり、格闘技にも長けていなければならない。そして、むろん単独で戦術や戦略を練る頭脳も必要とされる。このシリーズは、ほぼ半年置きに邦訳が出ることになっているので、乞うご期待。映画化の話もかなり進んでいるようだ。「週刊文春」書評、イケガミフユキ御大将から☆四つ半いただきました~~(サカイマチャアキ風)。
(続報)――ブラッド・ピット主演で撮影中との情報あり! 乞うご期待!


暗殺者グレイマン (ハヤカワ文庫 NV ク 21-1)

暗殺者グレイマン (ハヤカワ文庫 NV ク 21-1)

  • 作者: マーク・グリーニー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/09/21
  • メディア: 新書



The Gray Man (A Gray Man Novel)

The Gray Man (A Gray Man Novel)

  • 作者: Mark Greaney
  • 出版社/メーカー: Jove
  • 発売日: 2009/09/29
  • メディア: マスマーケット



On Target (A Gray Man Novel)

On Target (A Gray Man Novel)

  • 作者: Mark Greaney
  • 出版社/メーカー: Jove
  • 発売日: 2010/09/28
  • メディア: マスマーケット



Ballistic (Gray Man)

Ballistic (Gray Man)

  • 作者: Mark Greaney
  • 出版社/メーカー: Berkley Trade
  • 発売日: 2011/10/04
  • メディア: ペーパーバック



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『かつての超大国アメリカ』フリードマン・マンデルバウム [新刊!]

この本は、アメリカの現状を憂う警世の書なのだが、日本にも符合するところがきわめて多い。

まず、先進国に共通の大きな問題が、四つある
1 グローバリゼーションにどう適応するか?
2 IT革命にどう順応するか?
3 巨額の財政赤字にどう対処するか?
4 エネルギー消費の増加、気候変動の脅威にどう対応するか?

著者たちは、アメリカのかつての繁栄の秘訣が五つあり、それがいま損なわれていると説く。
1 教育――国民向けの公共教育の充実。
2 インフラ――道路、橋、港、空港、ネットワークの回線容量、光ファイバー等々の建設と絶え間ない現代化。
3 移民――IT産業ですら、移民に支えられているという現状がある。
4 研究開発――基礎研究・開発への政府の支援。
5 適切な規制――民間経済活動への必要な規制の実行。

移民のことはともかく、あとは日本にとっても繁栄の秘訣だ。そして、教育をまっさきに挙げていることからもわかるように、これは喫緊の問題だ。8月9日の日経朝刊に2012年の学力テストの結果や分析が載っているが、かなり深刻な問題がある。そして最近は、つぎのような報告があった。

文部科学省の国立教育政策研究所が、全国学力テスト4回分の傾向を分析した結果、小学6年生の半数近くが、小5までに学ぶ「小数のかけ算・割り算」の意味を理解していないとみられることが分かった。

本書で著者は、「アメリカの成人の49パーセントは、地球が太陽を一周するのにどれだけかかるかを知らない」と書いている。また、高卒者のなかにも、2+x=2のとき、xの値は? おいうような単純な式が解けないものがいるという、日本はそこまでひどくないかもしれないが、理数系の点数が低いことと、科学的概念から論理的思考を導く力が弱いことは憂慮される。

ほんとうにここには書ききれないくらい、さまざまな問題が考察されている。日本人にとっても、21世紀を生き延び、なおかつ繁栄するために必読の教科書――究極のHOW-TO本であると断言できる。
かつての超大国アメリカ―どこで間違えたのか どうすれば復活できるのか

かつての超大国アメリカ―どこで間違えたのか どうすれば復活できるのか

  • 作者: トーマス・フリードマン
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2012/09/22
  • メディア: 単行本



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SEALチーム6本の決定版!ビンラディン暗殺!『極秘特殊部隊シール・チーム・シックス』ワーズディン&テンプリン [新刊!]

2011年5月2日、ウサマ・ビンラディンが暗殺された。その作戦を実行したのが海軍SEALだとしって、「陸地での作戦になぜ海軍部隊が?」と不思議に思った向きもあったようだ。じつはこのSEALチーム6は、制式名称を特殊戦開発群(DevGru)という対テロ部隊で、他のSEALチームとは性格を異にする。そして、その全貌がいま明らかになった――共著者のひとり、ハワード・E・ワーズディンは、SEALチーム6の一員として、「ブラックホーク・ダウン」でよく知られているモガディシュの戦いに参加している。もうひとりの著者も、ヘル・ウィークと呼ばれるSEALの選抜訓練をやり抜いた猛者だ。だから、本書の描写は正確このうえない。米海軍のSEALチーム、なかんずくSEALチーム6を知るための必読の書だ。ところで、このアマゾンに見られる表紙の上に、その70%以上を覆う帯がかけられている。ですから、書店でじかに見るのとは体裁がちがう。お見逃しなく!

ビン・ラディン暗殺!  極秘特殊部隊シール・チーム・シックス あるエリート・スナイパーの告白

ビン・ラディン暗殺! 極秘特殊部隊シール・チーム・シックス あるエリート・スナイパーの告白

  • 作者: ハワード・E・ワーズディン
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2012/08/07
  • メディア: 単行本



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『レッド・ドラゴン侵攻! 米中開戦前夜』ラリー・ボンド [新刊!]

ラリー・ボンドのこのシリーズは、ほんとうにすごい。今度は中国軍が戦車部隊を繰り出す。寡兵のベトナム軍を支援する米軍将校が、それをゲリラ戦術で防ごうというのだ。おりしも来襲した台風が、それを援ける。中国軍の戦術やドクトリンの特徴をよく捉えている著者ならではの軍事スリラーだ。

レッド・ドラゴン侵攻!  第3部 米中開戦前夜 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

レッド・ドラゴン侵攻! 第3部 米中開戦前夜 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

  • 作者: ラリー・ボンド
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2012/05/21
  • メディア: 文庫



レッド・ドラゴン侵攻!第2部 南シナ海封鎖〈上〉  (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

レッド・ドラゴン侵攻!第2部 南シナ海封鎖〈上〉  (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

  • 作者: ラリー・ボンド
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2011/08/22
  • メディア: 文庫



レッド・ドラゴン侵攻!第2部 南シナ海封鎖〈下〉 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

レッド・ドラゴン侵攻!第2部 南シナ海封鎖〈下〉 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

  • 作者: ラリー・ボンド
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2011/08/22
  • メディア: 文庫



レッド・ドラゴン侵攻! 〈上〉 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

レッド・ドラゴン侵攻! 〈上〉 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

  • 作者: ラリー・ボンド
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2010/12/17
  • メディア: 文庫



レッド・ドラゴン侵攻! 〈下〉 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

レッド・ドラゴン侵攻! 〈下〉 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

  • 作者: ラリー・ボンド
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2010/12/17
  • メディア: 文庫



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『探求――エネルギーの世紀』ダニエル・ヤーギン [新刊!]

 じつにすごい本だ。エネルギーとその探求の歴史が、まるで大河小説のように語られる。日本は福島第一原発の事故でエネルギー・ミックスの見直しを余儀なくされたが、容易に原子力を脱することができるわけではない。再生可能エネルギーにはまだコストの問題があるし、エネルギー・ミックスで安定した供給を果たしているとはいえない。とはいえ、エネルギーの世界は進歩が激しく、たとえばシェールガスのような新テクノロジーが、アメリカのエネルギーにひとつの道筋を示している。オイルピーク理論も、「テクノロジーの進歩による埋蔵量の増加」によって、いまの時点ではそう重視しなくてよくなっている。とにかく、地政学もからめて、エネルギーは複雑な問題であり、ここで簡単にどうこういえるものではないので、ぜひ本書を一読してもらいたい。魅力ある登場人物たちが、エネルギーの科学や技術を進歩させてきたことも描かれている。読物としても一流だし、エネルギー百科事典としての利用価値もあるだろう。エネルギーがいまの世界の安全保障や秩序を左右しているのは、まぎれもない事実だ。どんな分野に属していても、それを意識せずには生きていけないのである。そして、途上国の台頭により、21世紀は、ことさらエネルギーの重要性が増している。

探求――エネルギーの世紀(上)

探求――エネルギーの世紀(上)

  • 作者: ダニエル・ヤーギン
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2012/04/03
  • メディア: 単行本



探求――エネルギーの世紀(下)

探求――エネルギーの世紀(下)

  • 作者: ダニエル・ヤーギン
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2012/04/03
  • メディア: 単行本



探求――エネルギーの世紀 上・下2冊セット

探求――エネルギーの世紀 上・下2冊セット

  • 作者: ダニエル・ヤーギン
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2012/04/10
  • メディア: 単行本



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『アメリカ本土空爆指令』 デイル・ブラウン [新刊!]

デイル・ブラウンの久しぶりの邦訳が、つに出た。作品によっては、アイルランド系のおしゃべりが鼻につくこともあったのだが、これは展開がスピーディでおもしろい。最近のなかでも傑作だろう。それに、北米の防空態勢が弱体化しているところなど、実態をかなりふまえて書いていると思われる。途方もない事案想定(シナリオ)でストーリーは進んでゆく。対するパトリック・マクラナハンとその仲間の健在ぶりが、楽しく読める。凄絶な航空戦・地上戦が、スリル満点に描かれている。今回はかなり派手ですぞ!


Plan of Attack

Plan of Attack

  • 作者: Dale Brown
  • 出版社/メーカー: Harper
  • 発売日: 2004/12/28
  • メディア: マスマーケット



アメリカ本土空爆指令(上) (扶桑社ミステリー)

アメリカ本土空爆指令(上) (扶桑社ミステリー)

  • 作者: デイル・ブラウン
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2012/02/01
  • メディア: Stationery



アメリカ本土空爆指令(下) (扶桑社ミステリー)

アメリカ本土空爆指令(下) (扶桑社ミステリー)

  • 作者: デイル・ブラウン
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2012/02/01
  • メディア: 文庫



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『絶境の秘密寺院に急行せよ!』カッスラー&ダブラル [新刊!]

 最近、サイバーテロが国や企業にとって脅威になっている。ネットがこれだけ普及していると、どこからでも攻撃を仕掛けられる。まるでゲームの世界だ。コンピュータ・オペレーターが戦闘員化。しかし、現場の人間の活躍も捨てたものじゃない。それを楽しませてくれるのがこのシリーズだ。しかも今回は、編集者もシリーズ中最高! との折り紙をつけたスピード感のあるストーリーで、謎解きもそこそこある。それに、新しい仲間もくわわって、いよいよ究極のページターナー・シリーズになってきた。キャラも立っているし、映画化したら、現実味を失っている007シリーズよりもずっとおもしろいと思う。さあ書店に走ろう……おっと、21日発売です。XマXンで予約しておこう。

絶境の秘密寺院に急行せよ!(下) (ソフトバンク文庫)

絶境の秘密寺院に急行せよ!(下) (ソフトバンク文庫)

  • 作者: クライブ・カッスラー
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2011/11/21
  • メディア: 文庫



絶境の秘密寺院に急行せよ!(上) (ソフトバンク文庫)

絶境の秘密寺院に急行せよ!(上) (ソフトバンク文庫)

  • 作者: クライブ・カッスラー
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2011/11/21
  • メディア: 文庫



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祝!ゴールドダガー受賞!『ねじれた文字、ねじれた路』トム・フランクリン [新刊!]

こういう晴れがましいことは、ほんとうにめずらしいのですが、訳した本がミステリの重要な賞を勝ち取りました。評者もなかなかうれしいことを書いています。ぜひご覧ください。詳細はこちらに:
PS:アマゾンさん、先週20冊弱あったのが売り切れ、また追加したみたいです。

http://www.thecwa.co.uk/daggers/2011/gold.html


ねじれた文字、ねじれた路 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ねじれた文字、ねじれた路 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

  • 作者: トム フランクリン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/09/09
  • メディア: 新書



密猟者たち (創元コンテンポラリ)

密猟者たち (創元コンテンポラリ)

  • 作者: トム フランクリン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2003/06
  • メディア: 文庫



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『ねじれた文字、ねじれた路』トム・フランクリン(追記) [新刊!]

『ねじれた文字、ねじれた路』には、いろいろなmonoKIF_090300000.jpg
が出てくる。それについてちょっと書いてみた。
(1)ラリーが納屋から出してくる「古いフォードのトラクター」はこんな姿をしている。
http://www.livinghistoryfarm.org/farminginthe50s/machines_06.html
 タイヤに水を錘として入れるのは、当時、よくやられていたことだそうだ。
http://www.ytmag.com/articles/artint138.htm
(2)ラリーの父親のものだったピックアップ、1970年代初期の赤いフォード・ピックアップは、きっとこんなふうだったのだろう。
http://www.ford-trucks.com/pictorial/big/1970_f250_1.html
(3)ところで、サイラスは治安官(constable)だが、これは「町」に置かれているコモンロー以来の伝統的官職で、警察官としての専門的訓練は受けていないこともある(サイラスも然り)。シェリフよりはずっと格が下なのだ。くだいていえば、「駐在さん」だろうか。むろん、シェリフと同等の存在である場合もある。
http://www.co.jasper.ms.us/constables.html
(4)サイラスはジープに乗っている。ジープというと、米兵が乗り回していたものを想像しがちだ。映画『歌えロレッタ、愛のために』で、リン役のトミー・リー・ジョーンズが、そういうジープ(たぶん放出品だろう)でボタ山に登ってみせる場面がある。しかし、サイラスのジープは4WDではなくDJという2WDの型なので、そんな芸当はできない。このDJジープは郵便配達用に数多く使われ、配達に便利なように、右ハンドルのものも多かった。ちなみに、そういうふうに右ハンドルの設計がもともとあったので、DJ以外のジープでも、日本向けの右ハンドル化は容易だっただろう。うちの95年式XJ(チェロキー)は、ホンダが品質管理を行なっていた時代のもので、かなり信頼できる。エンジンはI‐6(直列6気筒)4リットルで、ゼロ4加速も17秒とずいぶん早い。だが、サイラスのは、ラリーが指摘しているように4気筒2・5リットルなので、だいぶかったるかったはずだ。
http://www.offroaders.com/tech/jeep/Jeep-DJ.htm
(5)ラリーが父親から借りて、その後、サイラスのものになったレバー・アクション・ライフルは、マーリンという有名メーカーのもので、その手のライフルでは名銃とされている。
http://www.marlinfirearms.com/Firearms/22Rifle/Golden39A.asp
(6)「巻いた蔦をそっとどかし、鎌首をもたげている葛の葉のあいだから覗いた」――葛はタバコ栽培で荒れた土地改良のためにアメリカに持ち込まれたのだが、ことのほか南部が気に入ったと見えて、どこでも猛威をふるっている。kudzuでぐぐってみるといい、すさまじい繁殖を示す映像がいっぱいある。原文the snakehead kudzu leavesには首をひねったのだが、散歩していたら蔓植物がつかまえるところを探しているありさまが、たしかにそんなふうだった。それに、校了後、ある建築家のエッセイに「……まるでクズの波なのだ。先端は鎌首をもたげた蛇の頭のようでもあり」とあったので、ほっとした。
(7)「ライブオークが日陰をこしらえ、そこにかぶさるサルオガセモドキが、死んだ将軍たちの顎鬚おろしく風で斜めに流れている」――南部の小説にはよくSpanish mossが出てくる「サルオガセモドキ」と訳されるが、庭園にあるものと、こういう大木を覆っているものとでは、ずいぶんちがう。
http://phillipbutler.com/portfolio.asp?catID=6
http://shitteruhawaii.web.fc2.com/spanishmoss.htm
(8)サイラスは、四輪バギーに乗っているストリングフェローに、公道は走るなと注意する。「白人と四輪バギーのつながりが、サイラスには理解できなかったが、どの家にもかならず一台ある」
http://www.4wdonline.com/bbs/messages/7/147.html
(9)学童がMississippiのつづりをおぼえるための文句だが、カントリー歌手レッド・フォリーのその名も「ミシシッピ」というヒット曲に取り入れられている。
 エム、アイ、ねじれ文字、ねじれ文字、アイ
 ねじれ文字、ねじれ文字、アイひとつ
 こぶの文字、こぶの文字、アイひとつ
 ミシシッピ、ニューオーリンズまで流れてゆくよ~
http://www.youtube.com/watch?v=4RSfmP92cTs
 最後は、ミシシッピ州出身の歌手ジム・ウェザリーが「ミシシッピ」に捧げた歌を、ゆっくりと聞いてもらいたい。グラディス・ナイトの〈夜汽車よジョージアへ〉を作ったのは彼だ。画像もなかなかいいよ。
http://www.youtube.com/watch?v=d5Yow8gi9HI
 余計な薀蓄でしたが、物語をお楽しみください。






ねじれた文字、ねじれた路 (ハヤカワ・ミステリ)

ねじれた文字、ねじれた路 (ハヤカワ・ミステリ)

  • 作者: トム フランクリン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/09/09
  • メディア: 新書




歌え!ロレッタ愛のために [DVD]

歌え!ロレッタ愛のために [DVD]

  • 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
  • メディア: DVD



I LOVE Jeep―ジープ最新ラインアップ (NEKO MOOK 1255)

I LOVE Jeep―ジープ最新ラインアップ (NEKO MOOK 1255)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ネコ・パブリッシング
  • 発売日: 2009/02
  • メディア: ムック



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