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『かつての超大国アメリカ』フリードマン・マンデルバウム [新刊!]

この本は、アメリカの現状を憂う警世の書なのだが、日本にも符合するところがきわめて多い。

まず、先進国に共通の大きな問題が、四つある
1 グローバリゼーションにどう適応するか?
2 IT革命にどう順応するか?
3 巨額の財政赤字にどう対処するか?
4 エネルギー消費の増加、気候変動の脅威にどう対応するか?

著者たちは、アメリカのかつての繁栄の秘訣が五つあり、それがいま損なわれていると説く。
1 教育――国民向けの公共教育の充実。
2 インフラ――道路、橋、港、空港、ネットワークの回線容量、光ファイバー等々の建設と絶え間ない現代化。
3 移民――IT産業ですら、移民に支えられているという現状がある。
4 研究開発――基礎研究・開発への政府の支援。
5 適切な規制――民間経済活動への必要な規制の実行。

移民のことはともかく、あとは日本にとっても繁栄の秘訣だ。そして、教育をまっさきに挙げていることからもわかるように、これは喫緊の問題だ。8月9日の日経朝刊に2012年の学力テストの結果や分析が載っているが、かなり深刻な問題がある。そして最近は、つぎのような報告があった。

文部科学省の国立教育政策研究所が、全国学力テスト4回分の傾向を分析した結果、小学6年生の半数近くが、小5までに学ぶ「小数のかけ算・割り算」の意味を理解していないとみられることが分かった。

本書で著者は、「アメリカの成人の49パーセントは、地球が太陽を一周するのにどれだけかかるかを知らない」と書いている。また、高卒者のなかにも、2+x=2のとき、xの値は? おいうような単純な式が解けないものがいるという、日本はそこまでひどくないかもしれないが、理数系の点数が低いことと、科学的概念から論理的思考を導く力が弱いことは憂慮される。

ほんとうにここには書ききれないくらい、さまざまな問題が考察されている。日本人にとっても、21世紀を生き延び、なおかつ繁栄するために必読の教科書――究極のHOW-TO本であると断言できる。
かつての超大国アメリカ―どこで間違えたのか どうすれば復活できるのか

かつての超大国アメリカ―どこで間違えたのか どうすれば復活できるのか

  • 作者: トーマス・フリードマン
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2012/09/22
  • メディア: 単行本



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