『実利論』カウティリヤ、上村勝彦訳 [本・読書]
仕事で必要になって取り寄せたのだが、インドってすふぉい。諸説はあるが、これが紀元前四世紀にまとめられたものだとは……。マキアヴェリもびっくりです。それに、翻訳がすばらしい。この手の本はキョウジュとかガクシャの読めないニホンゴを読まされるのがつらいのだが、サンスクリット語からこんなすばらしい日本語が生み出せるというのは、驚異的なことだ。日本語ぐらい形而上的なことを書くのに向いていない言葉はなく、いつも苦労させられているのに……。これはちょっとそばに置いて、しじゅうページをめくりたい本だ。
実利論 上―古代インドの帝王学 (岩波文庫 青 263-1)
- 作者: カウティリヤ
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1984/09/17
- メディア: 文庫
実利論 下―古代インドの帝王学 (岩波文庫 青 263-2)
- 作者: カウティリヤ
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1984/11/16
- メディア: 文庫
『カタギ』鳴海章 [本・読書]
最近、本を読むと、どうも森よりも木が気に入る傾向があって、困ったものだ。散歩していて、道の隙間から生えている雑草が気にかかる……のとはちがうけれど、こんな喫茶店、この界隈ならありそうだな、とか、「蕎麦をたぐる」っていう表現はいいよな、と思いながら本を読むものだから、本筋がどうも頭にはいってこない(ウィスキー飲みながら読むからでもありますね)。とにかく、このシリーズは、主なキャラクターも入れ替わり、立ち替わり、なかなか愉しめる。『カタギ』では、時の流れがうまく使われていて、過去が亡霊のように蘇ってくる。『赤毛のレドメイン』を最高傑作とする小生には、こたえられない作品です。
『ロシア 闇と魂の国家』亀山郁夫+佐藤優 [本・読書]
精選版『日本語大辞典』 [本・読書]
すこし時代を遡ったものを訳すときには、ある物を指すのに同時代の日本でどういう言葉が使われていたかをかならず確認する。たとえば、dressの訳語は「ワンピース」だが、これはどうか? 1927年に芥川の「歯車」で使われていたとわかる。gas station、service stationはふつう「ガソリンスタンド」と訳されるが、これも1930年ごろに日本で使われていた。juke boxはもともとはnickel phonograph(五セント蓄音機)だった。「ジュークボックス」は日本では1951年が初出とされているが、OEDによれば、アメリカでの初出は1939年のTime誌とされている。だから、それ以前の小説で「ジュークボックス」と訳すのは、問題がある。こういったことを調べるのに、この辞書は欠かせない。
『公安即応班』鳴海章 [本・読書]
『モサド・ファイル』バー=ゾウハー(文庫版) [本・読書]
文庫化されるにともない、前にハードカバーについて指摘したDC-3型「貨物機」、ハーキュリーズC-130輸送機、といった珍妙な表記はだいぶ減ったが、それでもまだ、ちょっと不思議な訳語が残っている。
P34 空挺部隊のデモ隊員 爆破(DEMO)担当?
P52 軍用貨物機 民間は「貨物機」、軍用は「輸送機」と呼ぶのがコモンセンス。P89など、「貨物機」多出。
P85 GRU「連邦参謀本部諜報部」 「連邦」はこの語に含まれていない。正確に訳すと、(ソ連軍)参謀本部情報総局
P190 ――当時はSS大佐――スコルツェニーの最終階級を大佐とする資料もあるが、それでも昇進は1945年4月20日としている(日付からして、終戦があまりに近く疑問が残る)。「中佐」というのが通説で、いずれにせよ、バルジの戦いの時点では「中佐」(上級大隊指揮官)だった。英文では中佐でもLieutenantをとり、Colonelですませる場合が多いので、要注意。
P265 ムハバラト(秘密諜報機関) P244に多出しているが括弧入りの訳なし。
P284 セミオートマティックの小銃 セミ・オートマティック・ライフルもしくは半自動小銃。引き金を引きっぱなしで連射(オートマティック)できないもの。
P330 ミサイル艇三艘 ミサイル艇は「ゴムボート」を「何艘」か積むような大きさだから、「隻」にすべき。P315の「ミフタハ」はサール級で、「ミリタリー・バランス」によれは92年の時点で6「隻」ある。
P390など 射程距離→「射距離」もしくは「射程」。路程、旅程、行程などとおなじこと。
大砲の数え方の単位 「基」→「門」軍艦の砲塔のように多連装の場合は「基」
P494 サイェレットマトカル特殊部隊 サイェレットマトカル=参謀本部偵察部隊だから、スペシャル・フォース特殊部隊という表現とおなじでおかしい。「特殊部隊サイェレットマトカル」とすべき。
P491 特殊部隊シャルダグ「イェヒダト・シャルダグ」「カワセミ部隊」。空軍/航空宇宙軍特殊部隊。
P34 空挺部隊のデモ隊員 爆破(DEMO)担当?
P52 軍用貨物機 民間は「貨物機」、軍用は「輸送機」と呼ぶのがコモンセンス。P89など、「貨物機」多出。
P85 GRU「連邦参謀本部諜報部」 「連邦」はこの語に含まれていない。正確に訳すと、(ソ連軍)参謀本部情報総局
P190 ――当時はSS大佐――スコルツェニーの最終階級を大佐とする資料もあるが、それでも昇進は1945年4月20日としている(日付からして、終戦があまりに近く疑問が残る)。「中佐」というのが通説で、いずれにせよ、バルジの戦いの時点では「中佐」(上級大隊指揮官)だった。英文では中佐でもLieutenantをとり、Colonelですませる場合が多いので、要注意。
P265 ムハバラト(秘密諜報機関) P244に多出しているが括弧入りの訳なし。
P284 セミオートマティックの小銃 セミ・オートマティック・ライフルもしくは半自動小銃。引き金を引きっぱなしで連射(オートマティック)できないもの。
P330 ミサイル艇三艘 ミサイル艇は「ゴムボート」を「何艘」か積むような大きさだから、「隻」にすべき。P315の「ミフタハ」はサール級で、「ミリタリー・バランス」によれは92年の時点で6「隻」ある。
P390など 射程距離→「射距離」もしくは「射程」。路程、旅程、行程などとおなじこと。
大砲の数え方の単位 「基」→「門」軍艦の砲塔のように多連装の場合は「基」
P494 サイェレットマトカル特殊部隊 サイェレットマトカル=参謀本部偵察部隊だから、スペシャル・フォース特殊部隊という表現とおなじでおかしい。「特殊部隊サイェレットマトカル」とすべき。
P491 特殊部隊シャルダグ「イェヒダト・シャルダグ」「カワセミ部隊」。空軍/航空宇宙軍特殊部隊。
モサド・ファイル――イスラエル最強スパイ列伝 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: マイケル・バー゠ゾウハー&ニシム・ミシャル
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/10/10
- メディア: 文庫
オバマ政権が決められない政治? いや、共和党が『政治の代償』ボブ・ウッドワード [本・読書]
アメリカの政治のからくりがよくわかる。今回の中間選挙で民主党は「歴史的大敗」を喫したと報じられているが、クリントン政権はほとんど民主党が少数党だった。
1994年の中間選挙後
上院 - 共和党 44 → 52、民主党 56 → 48
下院 - 共和党 176 → 230、民主党 258 → 204、無所属 1 → 1
1998年の中間選挙後
上院 - 共和党 55 → 55、民主党 45 → 45
下院 - 共和党 228 → 223、民主党 206 → 211、無所属 1 → 1
では、どこが違うのか……それはこの本を読めばわかる。
1994年の中間選挙後
上院 - 共和党 44 → 52、民主党 56 → 48
下院 - 共和党 176 → 230、民主党 258 → 204、無所属 1 → 1
1998年の中間選挙後
上院 - 共和党 55 → 55、民主党 45 → 45
下院 - 共和党 228 → 223、民主党 206 → 211、無所属 1 → 1
では、どこが違うのか……それはこの本を読めばわかる。
民主党の中間選挙敗北は……「誰がアメリカンドリームを奪ったのか」 [本・読書]
『ひょうたん』宇江佐真理 [本・読書]
『ヒゲのウヰスキー誕生す』川又一英 [本・読書]
朝ドランの「まっさん」がニッカウヰスキーの創業者、いや日本のウヰスキーの生みの親、竹鶴政孝であることは、隠れもない事実だ。「リタのモルト」が生まれるまでは、大きな苦労があった。結局大儲けしたのは、カラメルで色をつけたまがいものを売ったコトブキヤだったのだが、そのあたりも描かれるらしいので楽しみだ。ウヰスキーは寝かせておかないといけないので、資本を回収するのに歳月がかかる。竹鶴の苦労がしのばれる。これは涙なしには読めないよ。ああ、今夜もヒゲのブラックニッカを呑まねば。
歴史をつくる人々〈第17〉 ヒゲと勲章 ウイスキー革命は俺がやる 竹鶴政孝 (1966年)
- 作者: ダイヤモンド社
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1966/06/10
- メディア: 単行本