『カタギ』鳴海章 [本・読書]
最近、本を読むと、どうも森よりも木が気に入る傾向があって、困ったものだ。散歩していて、道の隙間から生えている雑草が気にかかる……のとはちがうけれど、こんな喫茶店、この界隈ならありそうだな、とか、「蕎麦をたぐる」っていう表現はいいよな、と思いながら本を読むものだから、本筋がどうも頭にはいってこない(ウィスキー飲みながら読むからでもありますね)。とにかく、このシリーズは、主なキャラクターも入れ替わり、立ち替わり、なかなか愉しめる。『カタギ』では、時の流れがうまく使われていて、過去が亡霊のように蘇ってくる。『赤毛のレドメイン』を最高傑作とする小生には、こたえられない作品です。