『レッドライト・ランナー抹殺任務』クリス・ライアン [新刊!]
クリス・ライアンはますます面白くなってきた。SASチームがカザフスタンの訓練キャンプを急襲、任務に従い、そこにいた約20人の英国人を抹殺する。だが、チームの一員サムの兄ジェイコブが、なぜかキャンプにいた……ジェイコブはきわめて優秀なSAS隊員だったが、ある事件のために除隊し、その後、行方を絶っていた。いま、ジェイコブは何者に雇われているのか……サムはその恐ろしい秘密を徐々に暴いてゆく。
レッドライト・ランナー抹殺任務 (ハヤカワ文庫 NV ラ 7-14)
- 作者: クリス・ライアン
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/09/30
- メディア: 文庫
『ホース・ソルジャー 米特殊騎馬隊、アフガンの死闘』ダグ・スタントン [新刊!]
アフガニスタン北部――多国籍軍の侵攻に先がけて、馬を駆り、最新兵器を用いて、北部同盟軍を勝利にみちびいた兵士たちがいた。これはその兵士たちの冒険物語である。ノンフィクションとはいえ、小説なみにめっぽう面白い! 米陸軍特殊部隊の知られざる活躍の全貌を、あますところなく描いている。口絵写真も豊富だ(むろん特殊部隊員の顔が鮮明に映っているものはない)。車輌が通れる道がほとんどない山岳地帯であったからこそ、まるで19世紀の軍隊みたいな北部同盟の騎馬軍団は、戦車などを保有する重装備のターリバーンをよせつけなかった。特殊部隊チームは、軍閥たちとともに山野に寝起きし、くつわをならべて戦ううちに信頼を得ていった。この遠大な計画は、米政府上層部の予想をはるかに超える戦果をあげ、短期間でマザーリシャリーフ攻略が達成されたことは周知のとおりである。ついでながら、この作戦のことは、『キラー・エリート』にもちりとと書かれている。また『攻撃計画』は莫大な軍資金を持ってアフガニスタンに先乗りしたCIAの潜入工作チーム「ジョー・ブレーカーズ」に言及している。
作者の談話の画像が、こちらで見られる。http://authors.simonandschuster.com/Doug-Stanton/46872051
作者の談話の画像が、こちらで見られる。http://authors.simonandschuster.com/Doug-Stanton/46872051
攻撃計画(Plan of Attack)―ブッシュのイラク戦争
- 作者: ボブ・ウッドワード
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2004/07/15
- メディア: 単行本
近刊予告「ホース・ソルジャー――米軍特殊騎馬隊 アフガンの死闘」 [新刊!]
2001年11月、北部同盟のマザーリシャリーフ攻略を、新聞はでかでかと取り上げている。だが、その裏に米軍特殊部隊の「馬に乗った兵士たち」の活躍があったことは、あまり知られていない。彼らは北部同盟軍に溶け込み、精密爆撃の誘導を行なって支援することで、前近代的な武器しか持たない北部同盟軍が、戦車や重火器を有するターリバーン軍を打倒するのを助けたのである。本書はまるで冒険小説のようなその物語を克明に描いている。4月刊行予定。乞うご期待!
Horse Soldiers: The Extraordinary Story of a Band of US Soldiers Who Rode to Victory in Afghanistan
- 作者: Doug Stanton
- 出版社/メーカー: Scribner
- 発売日: 2010/05/11
- メディア: ペーパーバック
『キラー・エリート 極秘諜報部隊ISA』マイクル・スミス [新刊!]
1980年代に組織された米軍の極秘諜報部隊ISA(通称アクティヴィティ)は、さまざまな場面で活躍してきた。かのCIAとはちがい、成功を収めてきた諜報機関は、秘密をまもってこられたがゆえに成功を収めることができた――それが如実にわかる。これまで訳してきた本、読んできた本にも、アクティヴィティの影はかすかに見えていた。それが本書ですべてパズルの最後のピースがはまるように明らかになった。著者がイギリス人というのも、ひねりがきいている。おそらく情報部の協力あるいは後押しを受けているにちがいない。そうでなければ書けないようなことが、数多く記されている。訳書で30ページにもおよぶ用語集にも重要な情報が含まれている。福井敏晴氏との対談もたっぷりと紙面をとったのでお楽しみいただきたい。軍情報機関とその活動のすべてを知る資料として必携。図版多数あり。
『スノーボール ウォーレン・バフェット伝』アリス・シュローダー [新刊!]
ついに書店にならびました。700ページずつ上下巻。あわせて厚みが77ミリ。一冊700グラムと、縁起のいい数字ばかりならぶのは、さすが「投資の神さま」の本。写真もいっぱい載っています。若いころのバフェットは、なんだかビル・ゲイツに似ています。ふたりが仲がいいのもむべなるかな。これほど仔細に書かれた伝記はめずらしい。作者の力量と、バフェットとの信頼関係がうかがえます。読み応えもあるし、読み物としても面白い。ウォール街と一線を画した投資をつづけて莫大な利益をあげてきたウォーレン・バフェットの秘密が解き明かされます。金融・投資関係者ばかりではなく、よりよい人生、よりよい生活を目指す個人にとっても必読の書です。
『スノーボール ウォーレン・バフェット伝』アリス・シュローダー [新刊!]
世界一の大富豪ウォーレン・バフェットがみずから指名した著者による、唯一にして無二の伝記である。この本は、さまざまな角度から楽しむことができる。資金を着実に増やしていく投資の原則、バフェットの運営するバークシャー・ハザウェイの成り立ちや仕組み、ウォール街とは距離を置いた「オマハの賢人」の生き方、ソロモン・ブラザーズの危機にどう対処したか、ITバブルになぜ巻き込まれなかったか――といったことばかりではなく、アメリカの戦後の社会に動きや個人の生活の変化といった面を知るのにも興味深い一冊といえよう。
誠実であることと、貪欲でないこと、そして集中力が、女の子ともなかなかつきあえなかった気弱な若者だったバフェットをここまでにした。『ムーディーズ・マニュアル』や《ウォールストリート・ジャーナル》を隅から隅まで読むといった、だれにでもできるがだれもやらないことをバフェットはやってきた。シケモクを見つけるのが難しくなると、優良企業への投資に転換し、保険会社のフロートを使ってそれを拡大していった……著者は損保業界のトップアナリストであり、バフェットやその家族や関係者の徹底したインタビューなどをもとに、5年の歳月をかけて本書を完成した。他の追随を許さない「バフェット本」である。
誠実であることと、貪欲でないこと、そして集中力が、女の子ともなかなかつきあえなかった気弱な若者だったバフェットをここまでにした。『ムーディーズ・マニュアル』や《ウォールストリート・ジャーナル》を隅から隅まで読むといった、だれにでもできるがだれもやらないことをバフェットはやってきた。シケモクを見つけるのが難しくなると、優良企業への投資に転換し、保険会社のフロートを使ってそれを拡大していった……著者は損保業界のトップアナリストであり、バフェットやその家族や関係者の徹底したインタビューなどをもとに、5年の歳月をかけて本書を完成した。他の追随を許さない「バフェット本」である。
トム・クランシーのオプ・センター#12『最終謀略』 [新刊!]
オプ・センター・シリーズ最終作の本書では、中国指導部の内訌が台湾海峡の危機を招く。きっかけは中国の衛星打ち上げ――オプ・センター長官を解任されたポール・フッドは、大統領特使として中国に赴き、首相の意向を探る。いっぽう、オプ・センター副長官から民間企業に転身したマイク・ロジャーズ将軍も、打ち上げられるアメリカ製衛星のメーカーの幹部として打ち上げ場近くへ潜入、破壊工作を阻止しようとする。そこにオプ・センター新長官の派遣する海兵隊の諜報部隊がからみ、三者三様に危機の収拾をはかろうとする……。台頭する中国の軍事力増強が、アジアの火種をいっそう危険なものにしている……。
『戦場の掟』スティーヴ・ファイナル [新刊!]
イラク戦争はまだ終わっていない――そんなことはわかりきっている、かもしれない。では、いまイラクで戦っている主力とは? 「民間警備会社」と称する正規軍ではない傭兵たちが、装甲車やRVでイラクの道路を我が物顔に走り回っている。軍隊ですら、この手の会社に「警備」を依頼するていたらくである。そこでは「強者のルール」がまかりとおっていて、規制する当局はないにひとしい。これはその現場を著者みずからが取材した貴重な本だ。血みどろの現場を描く超弩級戦争ノンフィクションで、著者スティーヴ・ファイナルは2008年度ピューリッツァー賞を受賞している。
『戦慄のウイルス・テロを阻止せよ』クライブ・カッスラー [新刊!]
いや、訳しておいていうのもなんだが、めっぽう面白い。これだけ盛りだくさんに冒険、ハラハラドキドキが詰め込まれている小説はいまどきめずらしい。ロマンスでいえば濡れ場満載というところだろうが、そんなものを読むのはむなしいし、現実のほうがずっと楽しいから、女の子もロマンスなんか投げ捨ててこっちを読もう。きわどい場面が連続して手に汗を握ってしまうヨ。思わず夢中になって乗り過ごさないようにネ。それに、いい男、いい女、個性派と、キャラクターも粒ぞろいだ。男の子の好きなおもちゃもいっぱい出てくる。
サブウェイ123 激突 [新刊!]
1974年にウォルター・マッソー主演で製作された『サブウェイ・パニック』は、その後リメイクされ、このたびまたジョン・トラボルタ、デンゼル・ワシントン主演で、リ・リメイクされた。原作にはハヤカワ文庫NVの村上博基氏訳があるが、このたび依頼されて新たに訳すことになった。
と、こんなことを書いているのは、どういうわけか訳者あとがきを依頼されなかったからで(ページ数の関係とは考えられない)、いわばあとがき代わりでもある。あとがきは訳者にとってめんどうな作業ではあるが、リ・リメイクの新訳ともなれば、多少のことは書かなければならないだろう。
前2作はユーモラスなオチがおなじなのだが、9・11後の冷酷非情なテロリズムの世界を反映して、トニー・スコット監督の新作は迫力満点であるはずだ。1970年代はまだ女性や黒人への差別が色濃く残っていて、原作にも映画にもそれがあらわれている。リメイク版は武器も「トミーガン」ではなくなっているが、まだ携帯電話の時代ではなく、そういった意味では、いまの現実からすると多少牧歌的といえるかもしれない。それに、原作の時代には100万ドルが大金であったかもしれないが、ニューヨークの金融機関が巨額ボーナスを出す現代でははした金だろう。また、ニューヨーク市警も往時はヘリコプターをそなえていなかったから、追跡の交通手段もおのずと限定される。
とはいえ、密室パニックとしては、地下鉄というのはなかなかいいアイデアだ。犯人たちも逃げ道がかぎられているわけで、その辺の知恵くらべがどうなるのかも楽しめる。「地下鉄ハイジャック映画「サブウェイ123」が都営大江戸線をジャック!」という記事が目に留まったが、そういう趣向もあるようだ。
それにしてもトラボルタのサングラス姿は迫力があるね。
と、こんなことを書いているのは、どういうわけか訳者あとがきを依頼されなかったからで(ページ数の関係とは考えられない)、いわばあとがき代わりでもある。あとがきは訳者にとってめんどうな作業ではあるが、リ・リメイクの新訳ともなれば、多少のことは書かなければならないだろう。
前2作はユーモラスなオチがおなじなのだが、9・11後の冷酷非情なテロリズムの世界を反映して、トニー・スコット監督の新作は迫力満点であるはずだ。1970年代はまだ女性や黒人への差別が色濃く残っていて、原作にも映画にもそれがあらわれている。リメイク版は武器も「トミーガン」ではなくなっているが、まだ携帯電話の時代ではなく、そういった意味では、いまの現実からすると多少牧歌的といえるかもしれない。それに、原作の時代には100万ドルが大金であったかもしれないが、ニューヨークの金融機関が巨額ボーナスを出す現代でははした金だろう。また、ニューヨーク市警も往時はヘリコプターをそなえていなかったから、追跡の交通手段もおのずと限定される。
とはいえ、密室パニックとしては、地下鉄というのはなかなかいいアイデアだ。犯人たちも逃げ道がかぎられているわけで、その辺の知恵くらべがどうなるのかも楽しめる。「地下鉄ハイジャック映画「サブウェイ123」が都営大江戸線をジャック!」という記事が目に留まったが、そういう趣向もあるようだ。
それにしてもトラボルタのサングラス姿は迫力があるね。
サブウェイ・パニック (1979年) (ハヤカワ文庫―NV)
- 作者: ジョン・ゴーディ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1979/03
- メディア: 文庫