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ことばの美学42 バレ句 [雑記]

タモリ倶楽部で「末摘花」をやっていたので、笑ってしまった。ちょうど江戸ことばの本を読んでいるところなのだが、宇江佐真理の小説はほんとに江戸ことばがうまい。「末摘花」は、戦後、これが「川柳」というふうに思われてしまうなど、功罪もあるのだが、江戸の庶民の感覚はいまに生きているし、「知らぬは亭主ばかりなり」などという言葉も頭に灼きついている。しかし、タモリ倶楽部のは、なかなか凝ってましたよ。
「蛤は初手赤貝は夜中なり」
――まあこれは有名
「おさえたは越前なりと湯番いい」
――越前というのは皮かむりのことで、松平越前守の槍の皮鞘のかたちに似ていることから、こういわれるようになったとか。この関連の句、けっこう多い。
「越前は一生おさな顔うせず」
――地名ものはほかにもある。
「二三日間がありゃ相模うらみ侘び」
――これは百人一首の本家どりなのだが、相模というのは相模女のことで、江戸で下女奉公するものが多く、インランだといわれていた。「末摘花」では一大スターである。
「いせ原を置いたで店がらんがしい」
――というように、相模女がくると、店の音たちはハッスルするわけである。
「信濃と相模うへしたの大ぐらひ」
――かたや、江戸に出稼ぎにきていた信濃者は大食だとされていた。こうした田舎者は「むくどり」と馬鹿にされていたものだ。川柳は長い月日を経ても、われわれの意識から消えない。これもことばの力のすばらしさだろう。それに、江戸っ子の教養はたいしたものだ。百人一首や芭蕉の句をもじれるのだから。





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