『ひねくれ一茶』田辺聖子 [本・読書]
解説で五木寛之が、これを読み終えたときの心境は、まさに「兜を脱ぐ」というものだた、と書いている。まさにその評に値する傑作だ。この解説がまたすばらしい『ひねくれ一茶』論になっていて、だからここではなんにも書けないのだが、江戸の日常もまじえて、椋鳥などと呼ばれた地方出身の少年が俳諧と出会って業俳になり、最後には故郷についのすみかを定めるという物語が、田辺聖子の独特のユーモアをまじえて描かれる。このしとはほんとうに男も女もみごとに描く。よく調べたらわが秘笈にもすでに一冊あったのを、文庫で買って再読してしまった……。