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ことばの美学35 漢字の国の物語 [雑記]

 漢字が読めるというのは、じつに便利なものだ。それにより、さまざまな言語を多角的に見ることができる。たとえば、ヴェトナム語の辞書を引き、救急は cap cuu (カップ・クゥー)だと知る。消火はcuu hoaである。ここでcuuが共通していることに気づく。しかし、「救急」と「消火」に共通の文字はない。そこで「越漢辞典」を引くと、これがそれぞれ「急救」と「救火」を表わしていることがわかる。ヴェトナムももとは漢字の国だったから、ヴェトナム語を調べるときに越漢辞典があるとじつに便利なのだ。それに、音が中国語よりもニホンゴに似ている気がする。たとえば東京はTo-kio、日本はNhat-Banである。音調があるから、そう簡単にはいえないのだけど、ナマスみたいな料理もあるなど、ヴェトナムには親近感をおぼえる。それにNha Trang(ニャ・チャン)を「ナー・トラン」などと表記することも、ちかごろは減った。アジアのリゾートを紹介する旅行番組のおかげかもしれない。
 また「英漢辞典」もけっこう役に立つ。たとえば中国軍の階級だが、「大将」は「上将」、「大佐」は「上校」、「大尉」は「上尉」など、かなりちがう。むろん「大佐」としてもまちがいではないが、「上校」というコトバを知らずにColonelを「大佐」とするのは、疎漏なホンヤクとしかいいようがない。それならPresidentを中国大統領と訳してよいことになる。漢字の国の住民は、そういったことにも気を配らなければならない。

すぐにつかえる日本語‐ベトナム語辞典 ポケット判

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  • 作者: 小此木 国満
  • 出版社/メーカー: 国際語学社
  • 発売日: 2002/02
  • メディア: 文庫



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共通テーマ:日記・雑感

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