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ことばの美学34 日本語の文法 [雑記]

 最近、どうも編集者や校正者のニホン語文法が乱れているのか、妙な指摘を受けることが多くなった。そういうときも、わざわざ国語辞典をひいて確認し、なおかつ活用も確認して、エンピツで回答しなければならない。これは昨今のホンヤクの文章の乱れを如実に表わしているように思う。
 たとえば「先端を尖らした」と書くと「尖らせた」ではないかと指摘される。「せ」のほうが他動詞的だという感覚なのかもしれないが、「尖らす」で他動詞(サ変)であるから、「尖らせた」はおかしい。耳を「澄ます」も同様である。口語では「せる」も許容されるかもしれないが、書きことばはもっと正確にしたいものだ。この手の指摘は、ほんとうに多い。編集者も校正者も、辞書をひけば、指摘が不適切だとわかるはずなのに、そういう手間を省いているとしか思えない。以前は編集者や校正者に教えられることも多かったのに、と多少がっかりしてしまう。それに、編集者や校正者にはコージエンを使ってほしくはない。あれはいい国語辞典とはいえない。実用例もすぐれている『新潮現代国語辞典』をお勧めする。なお、漱石や鴎外や潤一郎に混じって、なぜ山田詠美の『ひざまずいて足をお舐め』が用例に採用されているかは不明である。それも『痴人の愛』とならんで……。

新潮現代国語辞典

新潮現代国語辞典

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2000/02
  • メディア: 単行本



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