『昔の味』『男の作法』 [本・読書]
池波正太郎からはしばらく遠ざかっていたのだが、鬼平の最後のほうを読むついでに、こういった随筆にも手を出してみた。自分はグルマンでもないし粋人でもないとして、どうということのない話を半歩引いて書いているところに、池波正太郎のよさがある。日本の家屋の引き戸のよさについては、なるほどと考えさせられた。たとえば、蕎麦屋や寿司屋に長居するのがよくないのは、あたりまえだ。ファーストフードなんだから。こういったあたりまえのことが、どこかで伝わらなくなってしまった、とつくづく思う。