『「反」ダ・ヴィンチ・コード』 [本・読書]
こういう本はあまり好きではないのだが、必要があったので読んだ。陰謀史観対反陰謀史観の対決とでもいおうか。ダ・ヴィンチの時代には「モナリザ」は「モナリザ」は呼ばれていなかった。これは『ダ・ヴィンチ・コード』の推論ががらがらがらと崩れてしまう歴史考証上の最大の不備だが、まあそこはフィクションだから……というのがわれわれの一般的な見方だろう。だれも大岡政談が史実だとは思っていない(たいがい中国の古い逸話の焼き直し)し、水戸黄門が諸国を漫遊したとは思っていない(はずだ)。
しかし、メキシコとカナダのあいだにあるかの国は、大統領からしてあまり頭がよくなさそうなので、小説でも信じ込んでしまうらしい。だから、こういう本が間違った啓蒙を正すために必要なのだろう。
しかし、マツシマナオミが知っていてツルベが知らなかった『ダ・ヴィンチ・コード』(マツシマナオミが読了したとは思えないが)の読者が、これを読むかなあ? という疑問が残るのでありました。
これはこれで、ちょっとバイアスがかかった本であることを肝に銘じるべきだろう。