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『カントリー・ストロング』 [映画]

『クレイジー・ハート』でも思ったのだが、この作品もアメリカ映画のちょっとした変質を感じさせる。薬物やアルコール依存症のカントリー歌手が立ち直る話はいっぱいあって、ジョニー・キャッシュを描く『ウォーク・ザ・ライン』にもそういうエピソードがある。しかし、『カントリー・ストロング』の登場人物たちは、物事に対してもっと曖昧(黒白をつけない)し、暴力的な面がずっと薄れている。主人公たちの恋愛や友情にも深みが出ている。こういう映画を見ると、世界一の超大国であるアメリカがいくぶん衰退し、ヨーロッパ的になるのも悪くないと思わせる。アメリカは一貫して右か左か(単純すぎるいいかただが)に揺れる国だったが、その揺れに変化が出てきたような気がする。強者としてではないやさしさがにじみ出てきたとき、アメリカはひと皮剥けるのではないか――という気がした。しかし、興行的に難しいのだろうが、こういう佳品(傑作とはいえないが)を公開できない日本という国は、いったいなんなのだろうか。これは地に足がついた物語なのに。カントリー歌手のティム・マッグローが、主人公のカントリー歌手役のグウィネス・パルトローの夫という役柄で、一曲も歌わず、歌手らしくない風貌なのもご愛嬌。
 
カントリー・ストロング [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD



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