啄木の妻 節子星霜 [本・読書]
日露戦争に勝った日本は、これで近代国家の仲間入りをしたと思い込み、さらに坂の上の雲を求めて突き進む――しかし、戦費を稼いだのは女工たちのつむいだ絹であったし、庶民は赤貧にあえいでいた。本書は、その暗い時代、放縦で生活力のない啄木を支えて最期を看取った妻節子のひとり芝居の戯曲である。
作者はあとがきに、「あれからおよそ百年たった今日、かつて地上に生まれた社会的モデルのおおかたがいったん敗北し、新しい冬の時代、時代閉塞が厚く覆っている世界に私たちは生きている」と書いている。共感できる言葉である。
帯には、作者とおなじ演劇経験をもつ加藤剛と別役実の推薦文がある。
作者はあとがきに、「あれからおよそ百年たった今日、かつて地上に生まれた社会的モデルのおおかたがいったん敗北し、新しい冬の時代、時代閉塞が厚く覆っている世界に私たちは生きている」と書いている。共感できる言葉である。
帯には、作者とおなじ演劇経験をもつ加藤剛と別役実の推薦文がある。