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『シミタールSL-2』パトリック・ロビンソン [新刊!]

 8月23日発売予定!
 潜水艦物というのは、独自の用語がある。もちろん、旧日本海軍や海上自衛隊の用語をそのまま使うわけではないが、参考文献として、いろいろなものに目を通すことになる。今回はわりあいおもしろい資料があったので紹介したい。
『これが潜水艦だ』は、潜水艦が海上戦略、戦術でいかに重要な地位を占めているかにはじまり、攻撃の際の目標の標定のしかたなども、丁寧に説明されている。具体的な描写が多く、これまでになく有用な文献である。
『潜航』は、主人公の主語が「姓」ではなく「名前」であるなど、ちょっとどうかと思う点もあるのだが、読みやすく、潜水艦乗り「ドン亀」の生活を生き生きと描いている。
 つねに役立つ潜水艦の資料としては、むろん『トム・クランシーの原潜解剖』がある。訳者の博学もあって、きわめて信頼できる資料となっている。
 潜水艦物は、いつでもすこぶる人気があり、『レッド・オクトーバーを追え』が金字塔となったが、パトリック・ロビンソンの場合、『キロ・クラス』『ニミッツ・クラス』以来、悪役の旧ソ連製原潜が活躍するところが、ひとつの魅力だろう。『シミタールSL‐2』では、核弾頭を含む北朝鮮製の巡航ミサイルを搭載したバラクーダ型原潜が、世界の海を荒らしまわる。『これが潜水艦だ』の著者が「はじめに」で書いておられるように、ジェーンズ海軍年鑑では、潜水艦を筆頭に掲載している。それほど重要な兵器なのである。
 ジェーンズ年鑑によれば、バラクーダ型攻撃原潜は、潜航中の速力が34ノットとされている。これは、高速哨戒艇などの小型軍艦を除けば、もっとも速い部類にはいる。こうした原子力潜水艦は、音を立てないようにのろのろ進むこともできれば、かなりの速力で長距離を航走することもできる。
 ところで、子午線の1度は60海里に相当する。だから、赤道から北極までは、おおざっぱにいって、5400海里である。これに1.852をかけると、ほぼ1万――そう、昔の計算では、子午線の100万分の1を1メートルとしていた(いまはもっと精確な測定法を用いている)。つまり、海里とキロメートルは友だちだが、陸上のマイルとキロメートルは友だちではない。海洋物をやるときは、これを忘れないようにしないといけない。
 話がだいぶそれてしまったが、ひさしぶりにお届けするパトリック・ロビンソンのハイテク軍事冒険スリラーをお楽しみいただきたい。もうアマゾンで予約できます。

シミタールSL‐2

シミタールSL‐2

  • 作者: パトリック・ロビンソン
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/08/23
  • メディア: 文庫



これが潜水艦だ―海上自衛隊の最強兵器の本質と現実 (光人社ノンフィクション文庫 571)

これが潜水艦だ―海上自衛隊の最強兵器の本質と現実 (光人社ノンフィクション文庫 571)

  • 作者: 中村 秀樹
  • 出版社/メーカー: 光人社
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 文庫



潜航!―ドン亀・潜水艦幹部への道

潜航!―ドン亀・潜水艦幹部への道

  • 作者: 山内 敏秀
  • 出版社/メーカー: かや書房
  • 発売日: 2000/02
  • メディア: 単行本



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