新・翻訳アップグレード教室(29) [翻訳]
そもそも「翻訳アップグレード教室」の「オリジナル」は、月刊誌『翻訳の世界』1995年4月号からの連載にはじまる。毎月課題を出し、応募原稿の講評を中心に進めるというものだった。かなりの数の優秀な「生徒」が、ここをなんらかの足がかりに――あるいはひとつの踏み石に――して、デビューした。
この切抜きはいまでもおおむね残っている(他の連載等とまとめて『ミステリの翻訳をおぼえる本』に所収)のだが、ほぼおなじ時期に経済・経営などの分野の翻訳の泰斗山岡洋一氏が、同誌に連載していた「基本語翻訳辞典」には膝を打つことが多かった。
先日、ノンフィクション翻訳関係の集まりでお目にかかった際に、この話をすると、連載をまとめたものがちくま新書で出ているとのこと。さっそく購入した。連載の際にとりあげた言葉ではぶかれているものもあるようだが、その後のインターネットの発達により、コーパスを利用するなどの情報処理も格段に進歩したため、より研ぎ澄まされた英語勉強の参考書になっている。
内容はあえてここでは紹介しない。たった¥700プラス税で、これだけの知識が得られるのだから、即座に注文すべきである。