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新・翻訳アップグレード教室(9) [本・読書]

 今回は辞書の話。
 パソコンの心得のある訳者はたいがいDDWinをインストールし、ランダムハウス第2版やリーダーズ・プラスなどを串刺し検索できるように、自分なりの「電脳辞書」をこしらえている。しかし、ここではその話はしない。あくまで紙の辞書の話。
 書棚の軍事用語や航空用語、経済用語などの専門的な辞書はべつとして、僕のデスクには4冊のあまり大きくない辞書が置いてある。(1)「岩波新英和辞典」(補訂版)、(2)「新クラウン英語熟語辞典」、(3)「ウィズダム英和辞典」、(4)「新潮現代国語辞典・第2版」の4冊である。
 革装の(1)はもう20年近く使っていて、1冊は使いつぶし、これは2冊目になる。あまり知られていないが語義が正確な辞書で、法律用語や軍事用語もあんがいきちんと載っている。1冊目から、付箋を貼り、自分なりの語義を書き込んできた。この2冊目は、1冊目の書き込みを転記してあり、なおかつ表紙を自分で修理して使っている。
(2)は手もとにあるのは第3版だ。そもそも英語はイディオムの原語なので、DDWinの画面をスクロールしてゆくより、この辞書を先にひいたほうが能率がいい。それに、イディオムはひとによって細かい差のあることが多く(getを使うかhaveを使うかというようなこと)、辞書のページを追うほうが見落としが少ない。
(3)はおととし出た新しい辞書だが、たいへん重宝している。ランダムハウスやリーダーズに載っていない新しいいいまわしも収録されている。Cobuild Advanced Learner's English Dictionaryからも丁寧に言葉を拾っているので、見比べるとよいだろう。この辞書については、いずれ紙面をあらためてとりあげたいが、おととしの「ブッシュの戦争」を訳しているときに非常に重宝したといっておこう。
(4)は1985年に出た第1版を2000年に改訂増補したもので、これも第1版から愛用している。用例を近代の小説から採用しているのが特徴だが、なぜか山田詠美の「ひざまずいて足をお舐め」と谷崎の「痴人の愛」がならんでいたりするのが不思議だ。
 この国語辞典に載っていないような言葉を捜すときには、大辞泉第1版を使う。巻末に以前は独立した一冊の本だった「色の手帖」が含まれているのも便利だ。第2版では、なぜか「色の手帖」は省かれてしまった。
 おのおのの辞書については、いずれまた詳述する。
 

岩波新英和辞典

岩波新英和辞典

  • 作者: 中島 文雄, 忍足 欣四郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1987/02
  • メディア: 単行本


新クラウン英語熟語辞典 第3版

新クラウン英語熟語辞典 第3版

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 三省堂
  • 発売日: 1986/03
  • メディア: 単行本


ウィズダム英和辞典

ウィズダム英和辞典

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 三省堂
  • 発売日: 2002/12
  • メディア: 単行本


新潮現代国語辞典

新潮現代国語辞典

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2000/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ブッシュの戦争

ブッシュの戦争

  • 作者: ボブ ウッドワード
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 2003/02/26
  • メディア: 単行本


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