『刑事小町』鳴海章 [本・読書]
先頃の冤罪問題を考えると、なかなか意味深いストーリーだ。というのも、ここでは緻密な捜査や容疑者を「落とす」のが、犯罪の決め手をつかむことであるとともに、犯罪を犯していない確証を得ることとして描かれている。現代の捜査員はおそらくそういう考えで物事を進めているにちがいない。ともすれば市民に憎まれる損な役どころの警察官をもっと理解してあげたい、という気持ちになる本だ。だから、ドンパチはあまりありません。時代物でもそうなのだけれど、いっぱい血が流れるのはどうも、という感じになってきた。このくらいがちょうどいいね。