『アメリカを歌で知る』ウェルズ恵子 [本・読書]
まだ読みはじめたばかりだが、正確で広範な知識をもとに書かれているので、安心して読める。たとえばbluesは「ブルース」ではなく「ブルーズ」が正しいが、そのように表記されているのはうれしい。ウッディ・ガスリーやその他のことについて、『怒りの葡萄』にも言及があるが、この時代の弱者への理解なくして、アメリカの音楽は理解できないし、弱者とアメリカの音楽への理解なくして、『怒りの葡萄』のような作品は理解できないのである。さらにいうなら、この時代の社会のありようは、現代にも似ている。富の集中が大恐慌をもたらした流れは、『アメリカ人民の歴史』レオ・ヒューバーマン著にも、克明に描かれている。これはもう格差というような生易しいものではないのだ。
誰がアメリカンドリームを奪ったのか?(上) 資本主義が生んだ格差大国
- 作者: ヘドリック・スミス
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2015/01/20
- メディア: 単行本
誰がアメリカンドリームを奪ったのか?(下) 貧困層へ転落する中間層
- 作者: ヘドリック・スミス
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2015/01/20
- メディア: 単行本