SSブログ

ことばの美学58 継ぐもの継がぬもの [雑記]

翻訳をやっていて困るのは、先人の知恵が得られるいっぽうで、先人の過ちを正すのが難しいことだ。あまりひとのことはいえないのだが……。たとえば陸軍は「士官学校」、海軍は「兵学校」とすべしとよくいわれるが、アメリカでは精度がちがうから、どちらも「士官学校」でいいはずだ。さらにいえば、海軍兵学校は1942年に「兵科」と「機関科」の統合が成され、兵科一本になった。すこし意味合いがちがってきたわけだ。それから、よく「陸軍は将校」「海軍は士官」と訳せなどともいうが、これもまちがい。旧日本海軍では、「戦闘力の発揮に直接かかわる士官を「将校」と呼んでいだという。また、「将」は将官、「校」は佐官を示す字だから、下っ端少尉を「将校」と呼ぶのには、若干抵抗がある。Commandという部隊の単位は、従来、「軍団」などと訳されることが多かったが、軍団はCorpsであり、これもまちがい。現在では「集団」という訳がいちばん適切だろう。車のマスタングは「マスタング」がふつうになったが、P‐51のほうはあいかわらず「ムスタング」も多い。さてどうしたものか……。

日本陸海軍事典

日本陸海軍事典

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新人物往来社
  • 発売日: 1997/07
  • メディア: 単行本



nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。