ことばの美学52 ほんやくうらばなし [雑記]
ノンフィクションでもフィクションでも、ホンヤクで気を遣うのは、事実かどうかの確認だ。数字はすべからく裏をとらなければならない。その他の事柄でも、明らかにまちがっていれば訂正する。いきおい、原文とは異なる場合も多い。たいがいは、いちいち問い合わせずに直すが、『シール・チーム・シックス』では、著者のひとりと連絡がとりやすかったので、英文で質問を書き、編集者に取り次いでもらって、回答を得たので、たいへん助かった。参考までに、だいたいつぎのようなことだった。
1 BTR60PB(水陸両用の装甲輸送車)が二〇ミリ機関砲を発射した――この型にはない装備なので、一四・五ミリではないかと確認して訂正。
2 空母〈ジョン・F・ケネディ〉の兵装として、ファランクスMk15二基、赤外線追尾方式のSAMを発射するRAM(回転弾体型ミサイル)発射機二基と書かれていた――RAMは実用化されず、ファランクスは三基なので、それを指摘して訂正。
3 QRF(モガディシュの即応部隊)のヘリが、四〇ミリ弾を――これはスペクター・ガンシップ(対地攻撃機)の兵装で、ヘリには積むのはとうてい不可能。それに、モガディシュにスペクターを配備することを、米政府は認可しなかった。したがって削除。
こういった場合、できるだけ典拠として、武器の種類別のジェーンズ年鑑を使う。これは高い本なので、毎年飼うわけには行かないから、年遅れの古本を探す。ネット情報は、かならずしも信用できるとはかぎらない(ことに日本語に翻訳されている場合は)。考証にはこのように手間も金もかかる。それでも、原文とはちがうと思う向きもあるかもしれない。そこがホンヤクの難しさのひとつでもある。
1 BTR60PB(水陸両用の装甲輸送車)が二〇ミリ機関砲を発射した――この型にはない装備なので、一四・五ミリではないかと確認して訂正。
2 空母〈ジョン・F・ケネディ〉の兵装として、ファランクスMk15二基、赤外線追尾方式のSAMを発射するRAM(回転弾体型ミサイル)発射機二基と書かれていた――RAMは実用化されず、ファランクスは三基なので、それを指摘して訂正。
3 QRF(モガディシュの即応部隊)のヘリが、四〇ミリ弾を――これはスペクター・ガンシップ(対地攻撃機)の兵装で、ヘリには積むのはとうてい不可能。それに、モガディシュにスペクターを配備することを、米政府は認可しなかった。したがって削除。
こういった場合、できるだけ典拠として、武器の種類別のジェーンズ年鑑を使う。これは高い本なので、毎年飼うわけには行かないから、年遅れの古本を探す。ネット情報は、かならずしも信用できるとはかぎらない(ことに日本語に翻訳されている場合は)。考証にはこのように手間も金もかかる。それでも、原文とはちがうと思う向きもあるかもしれない。そこがホンヤクの難しさのひとつでもある。
Janes Fighting Ships 2012-2013
- 作者: Stephen Saunders
- 出版社/メーカー: Janes Information Group
- 発売日: 2012/08
- メディア: ハードカバー
Jane's Armour and Artillery 2011-2012
- 作者:
- 出版社/メーカー: Janes Information Group
- 発売日: 2011/06/23
- メディア: ハードカバー