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ことばの美学47 料理における危機的状況 その2 [雑記]

 前回、魚を煮るのにかつおだしは使わない、と書いた。これに煮たことが、西洋料理でもある。たとえば、ミネストローネには、ブイヨンやチキンスープを使ってはいけない。野菜が「だし」なのだから、その味をそこねないこと。オリーブオイルと塩のみを使う。これは有名なシェフのカルミネさんもいっていることだ。また、西洋には「スープはほほえむように作る」という諺がある、ぐらぐら煮立ててはいけない。火加減も料理ではだいじなことだ。寒い時期のミネストローネには、タマネギ、ニンジン、キャベツ、ジャガイモ、セロリ(葉も)、トマト、マジョラムを使う。調味料は塩と、最後にあらびきの胡椒だけ。
 つぎは肉などの煮込みのお話――。
 カレーやシチューの作り方で、最初に肉を炒めると書いてあるものが多いが、これは「肉」の味を逃がさない工夫で、逆に肉を「だし」にするのであれば、炒めないで、そのまま水からぶち込む。これだと、沸騰したときに一気に出るあくを一度取ればいいだけだ。それまで鍋についていないといけないが、あとは弱火にして、前述のように「ほほえむように」コトコトと気長に煮る。ついでながら、スーパーで「シチュー用」として売っているのは、そもそもが「切り落とし」であり、おなじ分量をカットしてもらうのよりも安い。紀伊国屋でラムのシチュー用(安い)が出たときに買って冷凍しておき、ニンジン、タマネギ、ジャガイモでシチューをこしらえることが多い。味付けは大目の塩とブーケガルニ、粒のままの胡椒だけ。あとでカレーにするという手もある。ジャガイモは皮を剥かずに、四つ切ぐらいにする。皮は盛り付けや食べるときに除けばいい。ニンジンはかならず泥つきにする。泥付きでないものは、機械で現われるときに皮がめくれてしまっているので、皮を剥く必要はない。
 料理の本には、正しくないことが書かれている場合もある。それから、記されている「分量」を当てにしてはいけない。味つけは、季節、気温、材料、体調、年齢などによって変えるべきものだからだ。さらに、濃い味付けは直せないが、薄ければ、好みに応じて、食卓で塩、胡椒などで直せばいい。そのためにそういったものがテーブルに出されるのだから。
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