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ことばの美学46 料理における危機的状況 その1 [雑記]

 高齢の母のもとへ、週何回かホームヘルパーが来るのだが、このひとたちは九割かた料理ができない。いや、おいしいものを作れるかどうかという話ではない。50~60代の女性が、料理の基本を知らないのだ。これでは日本は滅びる、と思う。「キャベツを大量の水から茹でる」「ブロッコリを丸ごと鍋に入れて茹でる」「カボチャが煮えていない(固くて食べられない)のを、固さは好みの問題といってはばからない」……等々。いっておくが、タダのボランティアではない。一定の料金を払い、それが介護保険によってまかなわれているのだ。いわば税金によって運営されているシステムの労働者なのである。そのスキルがこれでは……。
 日本料理のごく初歩的な原則のうち――
(1)根菜は水から調理、葉ものは熱湯でゆでる。
(2)魚を焼くときは身の側から、鳥は皮の側から(皮付きの場合)。
(3)卵を固めるのは塩であり、ふっくらさせるのは砂糖である。
(4)煮魚にかつおだしを用いてはいけない。また、醤油は色づけ程度にする。
――ぐらいは知っているのがあたりまえだ。それも知らず、よく半世紀主婦をやってこられたものだ。だいいち、ダンナや子供たちがかわいそうだ。なにも割烹のような料理を作る必要はない。季節の野菜や魚介を使って、簡単にできるものを、こしらえればいい。
     *      *
 ちなみに、きのう母のところへいってこしらえたのは、ありあわせの材料により、
(1)カラスガレイの煮付け――カレイ(切り身三つ)が隠れるくらいの深さの水に料理酒を大匙一杯、生姜の千切りをふり、煮え立ったところでアクをとり、あとは弱火で煮る。最後のほうに醤油を大匙一杯。(注)かつおだしを使わないのは、カレイはカレイの味で食べるため。これは常識。
(2)卵焼き――卵3つに砂糖小さじ3杯、塩少々。フライパンを熱して、油を充分に熱し、混ぜた卵をジャッと入れて、まわりから箸でスクランブルしながら、フライパンのいっぽうに押しつけて半月形にして、裏返す。
(3)ほうれん草のおひたし――洗ったほうれん草をラップでくるんで1分間チン。しょうゆではなくすりゴマをかける。いまの時期のほうれん草は甘くておいしいから、味付けはいらない。
(4)白菜がいっぱいあったので、ついでに甘酢漬けをこしらえた――白菜を適当な大きさに切り、ボウルに入れて塩をふり、くたくたになるまで手で揉む。しばらくほうっておき、出た水分を絞り捨て、甘酢であえ、ゴマ油少々をかける。翌日が食べごろ。
 いうはやすしでござるが、やってみなされ。


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