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『旬の菜時記』 [本・読書]

 本屋で新書の棚をあさって楽しい本を見つけると、うれしくなる。この本は、俳句とその俳句のエピソード、題材になっている食材や料理の写真、それにレシピまでついている。まえがきにあるように、「俳人は食いしん坊」なのである。春の句を見ていこう。
「壷焼きやいの一番の隅の客」石田波郷は、俳人の鈴木真砂女の経営する小料理屋「卯波」でこれを詠んだのだという。
「青き串木の芽田楽貫けり」小暮剛平――昔、会社につとめていたころ、豊橋駅近くで「菜飯田楽」をよく食べたものだが、これによると伊賀上野にもあるらしい。筍飯を作ったときに使った木の芽が残っているから、すって木の芽味噌にしてみようか。
「目玉二個背骨一本蛍烏賊」出口善子、などというかわいらしく愉快な句もある。
 もう近県の菜の花は終わってしまったようだが、きょうの魚は蛍烏賊と京菜の花の酢味噌和えにするとしよう。
 かようにおいしく楽しい本なのであります。

旬の菜時記 (朝日新書 170)

旬の菜時記 (朝日新書 170)

  • 作者: 宇多 喜代子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2009/04/10
  • メディア: 新書



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