『ブッシュのホワイトハウス』 [新刊!]
イラクにつづいてイラン関係もきな臭い感じになりつつあるが、本書は『ブッシュの戦争・Ⅲ』とでもいうべきものである(ただし、三部作の完結編ではない)。しょっぱなから、ブッシュ家とサウジアラビアのバンダル王子との深い結びつきが描かれていて、ブッシュ大統領が大統領戦出馬についてバンダルに相談した、というくだりなども興味深い。アフガニスタンやイラクでの戦争に至る経緯、戦後イラクがなぜうまくいっていないのかということも、本書を読めばよくわかる。また、例のCIA工作員身元漏洩、イラクの大量破壊兵器が発見されない問題など、数々の疑惑やスキャンダルの裏面も詳述されている。そうした目に見える事象のほかにも、「ブッシュのホワイトハウス」における表には出ない暗闘が仔細に描かれている。ホワイトハウス、国防総省、国務省、軍――いまのアメリカという国家の仕組み、力学、動性を知るには必読だろう。